2009年2月24日火曜日

「みんなの意見」は案外正しい(角川書店)

著者:ジェームズ・スロウィッキー 出版社:角川書店 発行年:2006年 評価:☆☆☆☆☆
 スペースシャトルが墜落したとき、いかなるまだ検証もされていないうちに何某企業の株価が下落しはじめた…。そんな実話から始まる「みんなの意見」の正しさと危うさについて語られる書籍。集合知をいかに活用させるか、そしてその前提は何かについて細かく検証し、一人の専門家よりも多様な素人の検証のほうが的確なケースがある場合が多いことを紹介。専門家ではなく大衆の集合知でだいたいの真実をつかみとることの重要性を本書は説く。そしてそれは民主主義制度がいかに機能していくか…というテーマにも発展していくのだが非常に面白い書籍だ。
 274ページでは景気の問題について争点となっている選挙でも選挙民は自己の利益よりもイデオロギーを優先させるという投票行動を分析。議会制民主主義についても「正しい意思決定を下せる人間を選べるかどうか」ということを重視すべき、ということでビジネス書としても心理学としても、また社会学の書籍としてとらえることもできるだろう。定価1,600円でこの内容は「買い」である。

0 件のコメント: