2009年2月10日火曜日

ヤバい経済学(東洋経済新報社)

著者:スティーブン・D・レヴィット、スティーブン・J・ダブナー 出版社:東洋経済新報社 発行年:2006年 評価:☆☆☆☆
 何気なく手にとっているうちに、データから理論を読み解いていくと、思いもかけない結論に達する…しかもそれにはちゃんとした合理性がある…というこの本の世界にひきこまれる。「あらゆるものの裏側」をデータを中心にみていこうとする二人の経済学者は、罰金が必ずしも遅刻を減少させない理由をインセンティブから解き明かし、ニューヨークで犯罪率が減少した理由を各種の統計から明らかにしていく。KKK団と不動産屋さんの共通点を探り、アメリカの教師と日本の相撲取りの共通点をあぶりだす。特に「完璧な子育て」についての章は意義深く、結局、親自身のこれまでの人生がそのまま子供に反映されるのであって名前がどうあろうとあまり関係ない…という結論に至るまでの論証が圧巻。巻末の索引や翻訳者による解説も充実しており、情報の非対象性や回帰分析はこういう風に使うとこんなことがわかるのか…と天才たちの仕事ぶりや頭の働かせ方を覗き込むのにも役にたつ。軽いエッセイの感じでも読めるが、逆に深く読み込もうと思えばさらに深く読み込むことも可能な経済学の本。

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