2009年2月26日木曜日

あぁ監督~名将・奇将・珍将~(角川書店)

著者:野村克也 出版社:角川書店 発行年:2009年
 この本を読んで意外に思ったのは、楽天の野村監督が想像以上に中日の落合監督を高く評価していることだった。もともと捕手出身の野村監督と打者出身の落合監督で共通点がどれだけあるのか不可思議だったが、お二人で野球談義をされることもあったらしい。選手・オーナー・ファンの3つの敵を想定してチーム作りを進めるというノムラ・スタイルは、最近の著書になればなるほど色濃くにじみ出てきている。「ここまで書いていいのだろうか」と首をひねりたくなるほどの直言が並ぶが、三原監督や水原監督など歴史的な名監督とその影響を受けた次世代の監督を比較するなど、こうした歴史的な時間軸で監督論を展開できるのはやはり野村克也氏ぐらいになってしまったのだろう。また「監督は言葉をもて」というフレーズが非常に心に残る。見えない、語りにくい経験談をいかに「面白く言い換えていくか」に苦労した人ならではの名言だ。野球はそもそもスポーツなのだからそれを言語化するのは難しい。しかしその難しさにあえて挑戦して選手に「理解」「納得」させていくのにはやはり「言語」が不可欠なのだ。
 一つの分野をきわめた男は他の分野にも秀でたものを持つという。おそらく中小企業の社長や経営者にとって野村氏の語る内容がかなり実践的に聞こえるというのはやはり限定された人材の中でいかに生産効率をあげていくべきか…といった発想と通じる面があるからだろう。

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