2009年2月23日月曜日

名画で読み解くハプスブルグ家12の物語(光文社)

著者:中野京子 出版社:光文社 発行年:2008年 評価:☆☆☆☆☆
 新書には珍しく絵画を4色で印刷してエピソードを著者が記すというスタイルで、かなりコストがかかっていると思われるが内容がまた面白く…。序章でルドルフ1世を取り上げハプスブルグ家の歴史の始まりを、そしてマクシミリアン1世、ファナとフィリップ、カール5世(カルロス1世)、フェリペ2世、フェリペ4世、カルロス2世、ルドルフ2世、マリア・テレジア、マリー・アントワネット、フランツ2世、エリザベート…錚々たる顔ぶれに画家のほうもデューラー、プラディーリャ、ティツアーノ、エル・グレコ、ベラスケス、マネと錚々たるメンバー。そして神聖ローマ帝国の始まりから崩壊までを一気にこの新書サイズで読み通せてしまう構成になっているのだから面白いのは当然だ。仇敵のフリードリヒ大王やナポレオンの肖像なども掲載されており、これまでハプスブルグ関係の書籍を色々読んだ中でもビジュアルと文章のバランスが最も優れている書籍の中のひとつ。絵画「狂女ファナ」は見開き2ページで鑑賞できるようにもなっており、一読、再読の価値ある優れた新書。

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