2010年3月28日日曜日

幸福の方程式(株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン)

著者:山田昌弘 電通チームハピネス 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
発行年:2009年 本体価格:1000円
新書サイズなのにかなりの高い価格なのが難点。取次ぎを通さない販売契約のはずだがその分読者に還元するプライシングをなんとか考案してもらえないものだろうか。新しい消費の形を探るということで、消費に物語をつけていく…というのが最近の風潮。その「物語」にはいろいろなバリエーションがありうるが、この本の中ではまず「はまる」消費を分析。時間密度と「手ごたえ実感」で、いわゆるオタクのフィギュアなどへの消費もあればボランティア活動などへの消費といったものも包含される。いずれも手ごたえ実感(こだわり)を重視した消費であって、これまでのミクロ経済学で提唱されてきたような消費形態とは大きく異なる。その中で重要なのは他者との差異化(差別化よりも強い概念)であって、他の人と一緒の消費形態ではなく、それぞれの個性が色濃く反映された消費のほうが幸せにつながる。手間や不便、家事なども消費の対象となり、不便が逆にこだわる消費者にとっては魅力的にうつるケースも増えてきている。その根底には持続可能な社会という概念が基礎にあるという分析だ。で、これけっこう当たっていると思う。土地や投資信託にお金をつぎ込むという投資もあれば自分のこだわりの世界に消費していくというケース、今後も増えて言う可能性が高い。だれしもがエルメスやコーチといったバッグに消費するのではなく、手作りのバッグにこだわったり、あるいはトートバッグにこだわりをみせるといったケースも増えてくるだろう。価値観が多様化しているなかでその多様性の「共通原則」を明らかにしようとした試みで、試み自体は評価できる。ただし内容がいかにも散漫すぎて読みにくいのが難点か。

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