2008年12月24日水曜日

流通戦略の新常識(PHPビジネス新書)

著者:月泉博 出版社:PHP研究所 発行年:2007年 評価:☆☆☆☆
 超成熟社会に勝ち抜ける流通形態とは何か、商品とは何かをデータと豊富な図式で解説してくれた新書。日常規格型商品が国際化の影響で低価格化するのは当然で、コモデティとブランドの「間」が狙い目とする筆者の見解は2008年が暮れようとする現在も非常に参考になる。新書なのに折込の流通業界の勢力図が閉じこまれているのも嬉しい。この新書自体が一種の付加価値をつけた商品となっている。最近の小売商の競争は民間消費支出が大きく落ち込む中、さらに激烈なものになっているが、それでもユニクロのヒートテックなどはやはり大ヒット。低価格よりもちょっと高い水準の価格設定で高付加価値というこの本で書かれているとおりのコンセプトの商品だ。ユニクロのヒートテックで薄着を可能にして、さらに、上にブランドの上着を着てもいいわけで、幅広い消費者の支持を受けたというのもまるでこの筆者が1年後を見通していたかのようだ。
 「ソリューション」と「需要創造」の2つのキーワードをまず示してさらにその詳細を後ろのチャプターで述べていくという構成も読みやすい。流通業界の「今」を知るのにはもっともハンディな新書といえるだろう。

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