2008年12月16日火曜日

年収防衛(角川SSコミュニケーションズ)

著者:森永卓郎 出版社:角川SSコミュニケーションズ 発行年:2008年
 「年収300万円時代」の筆者が「年収防衛」をテーマに執筆。かねてから小泉内閣の構造改革路線を批判してきた著者だが、市場経済主義をこの本でもかなり激烈に批判。個人的には地中海資本主義に近い考え方で、ほどほどに働いてほどほどに人生を楽しむワークライフバランスを提案する。会社ののっとりについては「確実に儲かる」と断言し、現在のサブプライムローン問題についてもわかりやすい解説。ルールやお金よりも「曖昧な優しさ」を提唱する筆者の今の時代だから必要なヨーロッパ的な価値観が際立つ。メディチ家と芸術の関係など独特の見方も非常に面白い。現在は大学の教員として活躍する筆者だが、前の職場については「えげつないところが良かった」と断言しており、そうした価値観もまた面白い。ニホンギンコウの最強ビジネスモデルとして、日銀券の印刷と国債の購入、そして政府への日銀納付金までの流れの分析も秀逸(123ページ)。

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