2011年7月17日日曜日

脳科学より心理学(ディスカヴァー)

著者:和田秀樹 出版社:ディスカヴァー 発行年:2011年 本体価格:1000円
国際ブックフェアのディスカヴァーのブースで2割引で発売されていたのを購入。新書の相場としてはページ数によもよるがだいたい700円台~800円台。それが書店では1,050円というのはやや高めの印象。それがそれなりに書店に並んでいるのは、企画力があるせいか。この本では脳科学ブームへの「反省」と認知科学の応用方法について語られている。ガードナーの多重知能という概念が98ページで紹介されているが、これが興味深い。言語的知能や論理数学知能というように「知能」を分割して、さらにそれぞれが一定の関係を保ちつつも、それぞれを別個に伸ばすことができるという概念。いわゆる先進国のなかで「音楽」が義務教育の学習項目に入っているのは日本だけというのも初めて知る。メタ認知の重要性については、和田秀樹氏は昔から述べられているが、「多重知能」「知識と推論」「メタ認知と自己修正」の3つを柱にすえて著述されたのはこの新書が初めてではないか。「曖昧さ」を許容する度合いで認知的成熟度を測定するというのも面白い(白黒つけたがるのは認知的成熟度が低く、曖昧な部分も世の中にはあるというのが認知的成熟度が高いということになる)。タイトルがややまた高尚そうになっているが、実際には、知能や感情コントロールについてすぐさま実生活で使えるスキルが紹介されている使い勝手のいい本ではないかと思う。

0 件のコメント: