2010年4月3日土曜日

おとなの男の心理学(KKベストセラーズ)

著者:香山リカ 出版社:KKベストセラーズ 発行年:2007年 本体価格:686円
 「効率性」を追求する人間と「自然体」を追及する人間が両翼に存在すると仮定すると、この本の著者はやはり「自然体」よりといえるだろう。その偏りをある程度わきまえて読み込んでいくと、やはり女性のほうが環境の変化には強く、男性のほうが環境には弱いという結論に。男性の更年期障害についてもページがさかれているのだが、案外この「更年期障害」については女性関係の本が多く男性の更年期障害の本は少ない。だからまあ、その部分だけでも読んで置くとけっこう役に立つ部分はあると思う。テストテロンの減少というホルモン要因に多くがありそうだがそれ以外にも遺伝子的要因や環境要因は当然あるだろう。ただし、著者は原因分析にはあまりこだわらず、「あるがままに」「将来をあまり心配しない」というのが一番と考えているようだ。確かに何が起こるのか将来はまったく予想が不可能。ある程度の予防措置をこうじたら、それ以降はあるがままに生きていくしかない。ただし「確実に予想しうる将来」については、健康面でも予防措置は必要だとは思うが…。「老い」を受け入れつつも、生活の質を保つ。けっこうそれって難しい。しかし難しいけれど人間は日々老いていくのだから、その対処方法についても難しい哲学的なことはヌキにして、生活レベルのこまごましたことで用意はしておきたい。家族、社会、未来へどこまで適応して自分自身と折り合いをつけるか。これ、やはり自分なりの生き方の問題に帰着すると思う。難しいテーマではあるけれど一定の年齢以上の男性はこれまでそうしたことにはまったく無関心で生きてくることができた。でもそれももう難しい時代になってきていることには気がつくべきなのだろう。

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