2010年4月26日月曜日

イエスの古文書 下巻(扶桑社)

著者:アーヴィング・ウォーレス 出版社:扶桑社 発行年:2005年 本体価格:819円
 な、なんと原作が発売されたのがアメリカで1972年…。48年前の作品なのにぜんぜん古びて感じられないのはやはり「ダビンチ・コード」の影響もあるか。物語の主題がアラム語の翻訳作業と秘密の保守と探りあいという影響もあるが、携帯電話やICレコーダーなどがなくても成立する「歴史ミステリ」ってやはりすごい。ミステリーとSF、ホラー映画はそれぞれデジタル機器によってその舞台設定が難しくなったと考えていたがこの小説を読んであらためて「アナログ時代のほうが想像力を刺激する」と実感。題材は「ダビンチコード」とかなり重なるのだが、イエスがゴルゴダからさらに生き延びて別の土地へ…というテーマは西暦2000年代でも相当に話題をよんだが、1970年代だと「なんじゃそりゃ?」という目で読まれてしまったのかもしれない。「歴史ミステリ」という偏狭なジャンル区分に押し込めておくのにはもったいない作品。きわめて現実的で「救済」がないようにも見えるエンディングへ向けてひた走るが、それでもなお「神の奇跡」は雪のふるなかに最後、「ベアトリーチェ」が降臨してくる…

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