2010年4月10日土曜日

フリー(NHK出版)

著者:クリス・アンダーソン 出版社:NHK出版 発行年:2009年 本体価格:1800円
 出版された瞬間に購入してそのまま「積んでおいた」。が、その後ベストセラーになりなぜか読む気がさらに失せ…。だがやはりベストセラーになるだけのことはあって、いったん読み始めるとそのままこの「フリー」の世界にはまってしまう。「R25」がなぜフリーなのにビジネスとして成立するか、SNSなどをはじめとして無料オンラインゲームがなぜゆえに収益を生み出すか。それはデジタルの場合には無限にコピーが可能であり、その無限の消費者のなかには希少価値をもとめてお金をだすユーザーがいる。99パーセントの無料ユーザーと1%の有料ユーザーによるビジネス。こういう展開は確かに1990年代には想定もできなかったが、なるほど、コンテンツさえ優良であればそれなりに顧客もまたつくという逆転の発想の世界。特にお金はあるけど時間がないというユーザーにとってはカード決済で無料ゲームのアイテムがそろえられるという「特典」は魅力的に思えるだろう。無料だから「お金はとれない」という発想ではなく、無料で複製が可能だからこそ成立するという発想はミュージシャンにも応用できるわけだが、著者は「著作権が守られても人気が得られるわけではない」という簡潔なメッセージで複製可能を肯定する。露出が激しいと人気が落ちるケースもありうるだろうが、露出が激しくCDが複製されてもコンサートやライブなどにお金を出すファンをしっかり獲得すれば、それなりにミュージシャンは利益を得られるわけだ。排他的な資源ではない、というあたりがこのデジタル資源の面白さか。

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