2011年8月28日日曜日

池上彰の宗教がわかれば世界が見える(文藝春秋)


著者:池上彰 出版社:文藝春秋 発行年:2011年 本体価格:800円
書店に並ぶ池上彰氏の著作物の多さに圧倒されつつも、この本を読むと「死ぬ」ということと「生きる」ということに向かい合っている池上氏の悩みみたいなものも垣間見えてくる。日本という独特の風土(宗教に対する風土)では生まれてからしばらくは神道で、クリスマスや結婚式はキリスト教、死ぬときは仏教という組み合わせでもそれほど違和感がない。が世界に目を転じてみると、ユダヤ教、キリスト教、仏教、神道、イスラム教だけでもそれぞれ発生と伝来にそれなりの意味があったことが示される。お寺の今後の存在意義をたとえば介護事業や成年後見制度などに見出す僧侶の方や、共同体と神道との関係など、テーマごとにそれぞれの識者と池上氏が対談するという形式がとられている。興味のあるジャンルから読み進めることもできるが、第1章の「宗教で読み解く日本と世界のこれから」は特に現在の宗教、政治、生活のかかわりを読み解く上で、わかりやすい文章となっている。

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