2011年8月22日月曜日

「超ドラッカー級」の巨人たち(中央公論新社)

著者:中野明 出版社:中央公論新社 発行年:2011年 本体価格:780円
「わかりやすさ」が学問の目的ではないものの、かといってどのジャンルのどの部分の本を読んでいるのか迷い道に入り込むこともある。ドラッカーの業績はあまりにも範囲が広すぎて、誰がどの分野を継承して発展させたのかもわかりにくい。そこでこの本。ドラッカーの業績をミッション、イノベーション、組織論、戦略論、人的資源論、マーケティングの6分野に分類してそれぞれの分野の先駆的学者を取り扱って解説してくれている。人的資源論ではジョン・コッター、戦略論ではマイケル・ポーター、マーケティングではコトラー、イノベーションではクレイトン・クリステンセンが取り扱われている。いずれもそれぞれの著書は読んだが、この新書でシステマチックに位置づけられるのは非常に便利。経営学の本ってある程度わかりやすさが優先されないと現実に適応するのに困る部分もある。まあミッションというのはいわば自己啓発的な側面もあるので、経営学とはなじみにくい部分もあるが、社会的責任論などを説いたのもドラッカーなのでBOPビジネスなどをとなえたプラハラードなどの解説もこの本におさめられている。ドラッカーからこうした後継者の本を読むのも一つの読書法だし、逆にプラハラードやコッターからドラッカーにさかのぼっていく読書履歴もありだろう。経営学は企業の発展のための科学だが、同時に企業が社会に貢献していく道を探る学問でもある。法律や経済の専攻の人でも経営学の本には目を通すものだが、そのガイドブックとしてこの本を利用する手もある。

0 件のコメント: