2011年8月28日日曜日

公安は誰をマークしているか(新潮社)

著者:大島真生 出版社:新潮社 発行年:2011年 本体価格:720円
「外事警察」などというテレビ番組が放映されるほか、「踊る大捜査線」シリーズなどでも「警備課」「公安」と刑事警察の壁みたいなものが描写される時代になった。一口に「公安」といっても非常にわかりにくい組織だが、本丸を警視庁公安部とした各府県警の警備課の体系としてとらえるとすっきりみえてくる部分がある。公安1課、2課、3課、外事1~3課、公安調査庁の順番でとりあげられ、共産主義の退潮と環境活動家や新興宗教、産業スパイや北朝鮮といったかつてとは異なる勢力の情報収集の図式がうかびあがる。公安調査庁の退潮と外事関係の業務の範囲の広さが印象に残る。なかなか新聞やブログなどではうかがいしることができない警察の一側面を客観的に描写したこの本。読み物としても面白いが、2011年当時の公安警察に関する資料としても、おそらく100年後200年後も活用される新書ではないかと思う。

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