2011年1月23日日曜日

最小の努力で結果を出す超合格法(ダイヤモンド社)

著者:荘司雅彦 出版社:ダイヤモンド社 発行年:2010年 本体価格:1300円
一種の「勉強」ブームも盛りをすぎて、バブル部分は別の方向へと向かい、真水の需要だけが勉強本の購買を支える。あれこれ勉強法と銘打たれた本は出たが、本当に使える勉強法の本は少ない。まず除外すべきなのは本当に一部の天才のみしか使えない勉強法で、次は学者やジャーナリストなど特殊な職業の人たちの勉強方法。一番汎用性があるのはやはり実務や実際の受験から編み出された経験原則か、心理学関係の研究から生まれた理論的な方法だろう。和田秀樹の著作が認知心理学の研究成果を取り入れたものであれば、この荘司雅彦の本は東京大学卒業と司法試験合格という実体験から編み出された方法といえる。ただし和田秀樹とこの本に共通する事柄は多く、和田が「過去問は一種のデータベース」としているのに対して、荘司は「北極星のようなもの」として一種の方向付けとして過去問を位置づけているぐらい。結局両者ともに過去問題を分析したり反復演習することが重要といっているわけで、受験生はどちらの本を読んでも同じ効果がえられるだろう。過去問題と基礎を固める重要さは何回繰り返し説かれてもさらにいろいろな形で受験生には刷り込むべきだが、「理解」と「興味」がともなわなければ意味がない「過去問題分析」も、自分自身の経験からいえば7割程度の得点。合格ラインが7割であれば過去問題だけでも合格できるわけだが、おそらく8割が合格ラインになるのであれば、「だれもが入手できる予想問題」の出題も過去問題にはプラスされるべきだろう。おそらく過去問題分析だけで勉強の7割までを費やしてもいいぐらいの重要さはある。さらに積み増しをするのであれば、一般的な予想問題の分析。この本の著者は模擬問題や直前テキストの繰り返しで得点を短期間にあげているが、この成果は、直前テキストの内容が「過去問題+予想問題」であったとするならば、ある意味では当然の結果だったといえると思う。実体験から編み出された勉強法の本としては、これまでの勉強方法の書籍を抜きさる簡潔明瞭な文章と図版。おすすめ。

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