2010年5月9日日曜日

人妻の経済学(プレジデント社)

著者:門倉貴史 出版社:プレジデント社 発行年:2010年 本体価格:1300円
 タイトルだけだと非常にうさんくさいが内容は「主婦市場」「人妻市場」にマーケティングをかけていくと、「中年男性」以上に売上が見込めるのではないか、という著者の提言だ。「機会費用法」による内閣府(経済社会総合研究所)の研究結果なども掲載されているほか、家計で実質的に支出項目を決定しているのは「妻」のほうであることなど、人妻の潜在的消費高がいかに高いかということに力点が置かれている。また主婦層の「クチコミ」にいかに商品やサービスをのせていくかがポイントとする著者の主張は化粧品市場や家庭電気製品市場のみならず小説やインターネットなども含めて幅広いジャンルに応用可能な提言といえるだろう。家計の節約のために「野草」をとってきて食卓にならべる「フードニング」も紹介されているが、エコという観点からも公園などに自生している野草を天ぷらの材料にするなど「フードニング」の応用性はきわめて高いようにも思える。
 ただ全体をとおしてのグランドデザインがいまひとつはっきりしないため、「雑学」的な要素が書籍全体に占める割合が高いのが難点。「いかにして」マーケティングを展開すべきなのか、といった視点なり切り口なりのモデルが示されていれば、もっと構成もすっきりしていたかもしれない。「タイトルがまずありき」といった編集内容が若干気にかかる。

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