2010年5月7日金曜日

敵は我に在り 下巻(KKベストセラーズ)

著者:野村克也 出版社:KKベストセラーズ 発行年:2008年 本体価格:676円 評価:☆☆☆☆☆
 この本、もちろんかなり前に発行されたものを上巻・下巻として再編集しなおしたもの。本来は「続・敵は我に在り」というタイトルだったと思う。ヤクルトの監督をされているときにこの本の存在を知ったが、すでにその当時で廃刊。神田の古本屋を探して旧版を入手したが、まさかそのときはこのシリーズまでもが復刊されるとは思ってはいなかった。「自らに課す練習というのはたいがいが単純なもの」という何気ないフレーズに、競争が激しかった南海ホークスで生き残る知恵をふりしぼっていたことがよくわかる。天賦の才能があるひとならともかく、「生き残る」というテーマで考えれば、競争が厳しい現在の企業内部にも通じるエッセンスがあると思う。「本当の自分を開発する」という含蓄の深い言葉もあるが、これはデザイナーの佐藤可士和さん風に表現すると「自分自身を問診する」という言葉に通じるだろう。自分に適していない競争原理や特徴を取り込むのは土台無理な話で4番バッターには適していないのに4番バッターをめざすようなものということになる。自分自身にちょうどふさわしく、そして自分自身を伸ばしていくスキル。「敵は我に在り」というタイトルは自分自身の再発見という意味合いもこめられているように思う。

0 件のコメント: