2010年5月4日火曜日

女は男の指を見る(新潮社)

著者:竹内久美子 出版社:新潮社 発行年:2010年 本体価格:680円
 なるほど。努力で才能が開花する…というのではなく、あらかじめ遺伝子で組み込まれた「天賦の才能」や「本能」が用意されており、遺伝子は遺伝子そのもののコピーのみを最大目標とする「利己的な遺伝子」である…。こういう先天的な才能重視の本はいろいろな問題点をはらんでいるので、社会科学的な部分では語られないが、自然科学だとけっこう思い切った「説」が展開できる。で、これがまた面白い。デザイナーの佐藤可士和さんが「自分を問診する」というワザを紹介してくれていたが、答えはすでにある程度自分自身の中にあるわけだ。テストステロンなるホルモンの果たす役割、エストロゲンの役割、ホックス遺伝子など自然科学の面白さを十分に解説してくれる新書。著者の関連書籍については本文のなかで紹介されているので、それをどんどんよんでいくとさらに動物行動学の世界にはまることができる。新書サイズでありながら、かなり幅広いテーマに取り組んでいるので、「利己的な遺伝子の話は苦手」という人にも2時間ちょっとの充実した読書体験は保証。

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