2010年5月4日火曜日

連結会計入門 第5版(中央経済社)

著者:広瀬義州 出版社:中央経済社 発行年:2009年 本体価格:3,600円
 連結会計というと昔は武田隆二先生の連結財務諸表の本が定番だったが、時代が変わり、この本が一番ポピュラーな存在になったのではないか。巻末には平成20年に公表された企業会計基準委員会「企業会計基準第22号」が収録されており、部分時価評価法などが削除されてよりすっきりした体系になった連結会計基準にのっとった著述に。非常に含蓄の深い文章が多く、マーカーやボールペンなどでメモをとりながらの読書となったが、労力をかけて読む価値が当然ある本。新会計基準とはいっても、そのほとんどは平成7年前の連結財務諸表原則から計算方式には変わりはない。計算よりもやはり重要なのは「考え方」だという思いを新たにする。内容が内容だけに連結財務諸表の最低限の作成方法については準備しておいたほうがよく、日商簿記1級以上の知識は必要ではないかと思う。逆に日商簿記1級を受験するテキストとしてももちろん有用だと思うが、過去問題を検討するさいのサブテキストとして利用し、最初から最後まで通読しようというのはやめておいたほうがいいだろう。ある程度全体の体系をつかんだうえで、さらに会計処理の内容や考え方まで踏み込んで理解しようという人に向いている内容だと思う。通勤途中で少しづつ読んでいったが、この本はおそらくさらに改訂のたびにわかりやすさと奥の深さをバージョン・アップしていくのではないかという予感。

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