2010年5月27日木曜日

日本の大問題が面白いほど解ける本(光文社新書)

著者:高橋洋一 出版社:光文社 発行年:2010年 本体価格:740円 評価:☆☆☆☆
 新書シリーズの中でも個人的にはやはり光文社新書、かなり充実したラインナップではないかと思う。特に経済・金融系統の名作・佳作が多い。この本も元財務省のキャリアである高橋洋一氏が、周波数オークションや中小企業金融円滑法などについてわかりやすく解説。日本の失業率がやや低めにみえる背景として雇用調整助成金の強化があるなど、やはり行政の裏側に通じている面を発揮。なかなか新聞や雑誌などでは目にすることができない解説を読むことができる。デフレが円高を招く理由についても、グラフなどを用いず高橋氏一流の文章のみで解読してくれる。これ、グラフで考えることが苦手な人にはオススメだ。デフレは貨幣の購買力が上がるわけだから、その分、貨幣の「値段」も高くなる、その結果輸出産業が打撃を受けるが輸入産業が恩恵を受けるメリットもある…というような展開。単純にいい、悪いでは整理できない問題については価値観、哲学、理念の問題としてきっちり区分して書かれているのでそれも読者にはありがたい。

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