2009年9月20日日曜日

しがみつかない生き方(幻冬舎)

著者:香山リカ 出版社:幻冬舎 発行年:2009年
 <勝間和代>をめざさない…というテーマは勝間和代氏自身もおそらく同意される内容ではあるまいか。ギュメでかこってあるのは「あくまで記号」としての意味であって、「ポジティブシンキング」や「努力は報われる」といった一面的な見方そのものを表現したものであって、けっして個人を批判したものではない。他人は他人でそれぞれ個性があるわけだから、勝間和代氏のスキル習得の方法をそれぞれ個人が自分なりにとりいれていけばいい。著者が問題にしているのは、あまりにも高い成功願望と成功願望に挫折したときの「病」が増えていることについての警鐘だろう。「もっと楽に」「もっと普通の生活に」という一種の「抑制」をきかせるための本がこの本の社会的意義だろう。もっとも「スーパービジネスパーソン」になることが難しいように「普通の生活」というのも一種の機会と運の賜物ではあるのだけれど。「お金」よりも「やりがい」というテーゼにも問題はあるし、おそらく「お金」もそこそこ、「生きがい」もそこそこというほどほどが一番実践可能で理想的な目標といえるかもしれない。

0 件のコメント: