2008年10月8日水曜日

そんな言い方ないだろう(新潮社)

著者:梶原しげる 出版社:新潮社 発行年:2005年 評価:☆☆☆☆
 フリーのアナウンサーにして言葉の魔術師梶原しげるさんの「言い方」にこだわるエッセイ集。ビジネスマナーの本はたくさんあるけれど、言葉遣いにここまでこだわる本というのは、ビジネスにも日常会話にもいろいろ応用が利くと同時に、なにより読んでいて楽しい。「よね」については筆者はかなりの嫌悪感を示しているのだが、そんなことは私は感じないんだよね…。「ちょっといいですか」の「ちょっと」とは実際にはどれくらいかという問いかけや、「い」と「え」の中間の発音などいろいろこだわる視点には賛否両論あれど、自分自身の無意識の言葉遣いも含めて参考になる部分が多い。最終的な人間関係の構築は情報交換だけではなく、情を載せた言葉のやりとり・感情の交流があってこそ、というくだりもただ言葉遣いだけではなく「内容面」「感情面」も重要というフリー・アナウンサーのプロらしい気配りだと思われる(おそらく取材活動もご自身でいろいろされているうちに会得された哲学がおありなのだろう)。「雑談」の効用や「思いつきの効用」なども説かれており、「思いつきもいえない職場は…」という問題提起にも納得。すでにベストセラーといってもいい新書だが、読んでいない方にも一読のお勧め本。

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