2008年8月18日月曜日

クライマーズ・ハイ(文藝春秋)


著者:横山秀夫 出版社:文藝春秋 発行年:2006年 評価:☆☆☆☆☆
 読んだのは文庫化された2008年6月1日第8刷のもの。単行本は2003年に発刊されている。傑作長編ということで,冒頭の2~3ページから一気に群馬県にあるという架空の北関東新聞社の世界にどっぷりつかってしまう。ミステリー小説というよりも,これはもう突然の大事故をめぐる地方新聞社を中心とした人間模様のドラマだ。今年7月に映画化もされたが,8月12日の御巣鷹山の大事故をめぐるメディアの人間模様を描写した力作だ。そして17年間の時間が経過…。おそらくこれに類した話はどこにでもあるのかもしれないし,主人公と同じように年月を過ごした新聞記者も存在する可能性は十分にある。リスクがあるとわかって自分の一生をすべてかけてでもその「山」にかけた新聞記者。人間模様を描いた小説であると同時に,企業小説としての性格ももつ。名作だ。

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