2011年5月4日水曜日

エネルギー 中巻(講談社)

著者:黒木亮 出版社:講談社 発行年:2010年 本体価格:762円
サハリン資源開発計画はロシアの法律の複雑さと政策に左右されるほか、環境団体も問題にしはじめる。また年金などの運用先として商品市場が注目されはじめ、WTI先物取引の原油価格は値上がりをつづけ、コールオプションの売りをたてていたチェンは苦境に陥る…。2001年からさらに重視されるようになった環境問題と資源開発、商品相場の構造転換、ロシアの民族主義的政策や中国の会計制度などがテーマとして取り上げられる。原価の見積もりなど具体的な場面の描写が興味深い。単位は数十億円の単位だが、計算方式は他の商品やサービスと同じ。ただし為替リスクや利子率などを考慮すると、かなり大雑把な見積もりで事業展開している様子はわかる。それまで環境団体にたいして偏見をもっていた登場人物が「言い分だけでも聞いてみよう」と考え方を変えていく場面も印象深い。

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