2011年5月11日水曜日

モチベーションを思うまま高める方法(三笠書房)

著者:小山龍介 出版社:三笠書房 発行年:2011年 本体価格:1300円
モチベーションには内面的な内発的動機と外面的な外発的動機の2種類がある。著者は内発的動機を重視して論理を展開しているが、これはかなりレベルの高い技だと思う。実際には自己実現的な動機で動ける人間はそれほど多くはなく、外面的動機付けで何か物事を始めていくのが一番よい。ただし、一定水準以後は、金儲けや対面といった外発的動機から内面的動機に移行していく必要性は確かにある。自分自身へのご褒美といった外発的動機で刺激付けをすることに限界を感じた段階でこの本のように内発的動機付けを重視していくのが効果的ではないかと思う。自分自身でモチベーションを管理していく時代だが、それは必ずしも報酬を意識しないという意味ではない。必要に応じて報酬を自分自身で用意していくこともまたモチベーション管理の一つだと思う。その意味では「怒り」「屈辱」ですら仕事エネルギーに変えることができる著者の「肝」はたいしたものだと思う。「怒り」が妙な屈折した劣等感に転化していく人が多いが、結局それでは生産的な成果物は生み出せないからだ。また86ページに著述されているような「地味なプロセス」を重視している点については巷のビジネス本のなかでは珍しく、また正論ではないかと思う。「上達」や「自己実現」の内訳は実は地道な努力の結果であることが多い。そうしたあたりまえのことが、あたりまえに、しかも楽しくできるというのがモチベーション管理にふさわしい自己統制のできる人間なのではないかと思う。

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