2011年5月31日火曜日

野村克也に挑んだ13人のサムライたち(双葉社)

著者:野村克也 出版社:双葉社 発行年:2011年 本体価格:800円
「週刊大衆」を発刊し、たまに骨太な文芸作品なども出版したりする双葉社の新書である。企画がとにかくユニークな出版社だが、この本も日本文芸社から既刊の新書に続く野村克也元監督に関する新書。ヤクルトの黄金時代を支えた西村投手、長島一茂選手、池山、飯田、古田といった選手と阪神時代の今岡選手、楽天時代の一場、岩隈などの選手が取り上げられている。苫篠選手がトップバッターで登場するが、足が速くてスイッチヒッターという特徴をもつユーティリティ・プレイヤーだった。ファンとしても期待を寄せていた選手だったが、いかんせん90年代のヤクルトでは、細かなチームプレーを得意とする選手が数多く、活躍の場がなかったのが残念。広島に移籍した当初はかなりの打率を上げたが、翌年に引退している。自分のセールスポイントをいかに伸ばすか、才能をいかに活用するか、多数のライバルのなかでいかにモチベーションを保ち、自分をみがくべきかといった「実話」があふれている。「人を生かす」「人を生む」という観点からすると野村克也監督がおそらく名監督ということになるが、その裏側では、活用されなかった選手もいる。10年後の「結果論」といえば、そういう面が確かにある本かもしれない。ただ、他のチームに移籍するなどしてもそのまま日の目をみることがなかった選手もいるだけに、確率としては「一芸に秀でる」「謙虚」といった要素が人生のサバイバルゲームに重要な要素をしめることもまた否定できない。さらにこれから10年後、この13人(実際にはセットアッパーを勤めた山田勉投手など他の選手にもページがさかれている)がまたグラウンドとはまた違った世界で、きっと勝負しつづけている姿を見れる思いがする。

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