2011年5月16日月曜日

福島原発メルトダウン(朝日新聞出版)

福島原発メルトダウン(朝日新聞出版) 著者:広瀬隆 出版社:朝日新聞出版社 発行年:2011年 本体価格:740円 評価:☆☆☆☆☆
東京電力と経済産業省の言い分が非常に強くマスコミでも報道されているが、はたしてそれが真実なのかどうか確信がもてない。「想定外」ということを東京電力側が強調するが、マグニチュードの規模が改ざんされていなければ、確かにそうした「想定外」という言い分にも一理あるが、マグニチュードの科学的算定の根拠もこれからしっかり確認しなければならないし、非常用電源の設置方法や津波対策の規模などもはたして予見可能なレベルだったのかどうかも斟酌されなければならないだろう。こうした視点がなかなかテレビなどでは報道されないということ自体が、一種の世論捜査ではないかとも思う。福島原子力発電所では3号機でプルサーマルが始動しており、水や水蒸気の排出にはプルトニウムが含まれている。これが1号機や2号機との違いだが、はたしてそこまで報道してくれたテレビ局や新聞社があったかどうか。東京新聞が一人気をはいてはいるが。
放射性物質の蓄積の問題や浜岡原発の影響力の大きさなどを具体的に指摘しているのはこの本のみ。LNGによる発電で代替するべきという案も提案されている。サハリン計画でLNGを東京電力管内にパルプラインでひいてくるという案も昔あったが、それを断ったのがT電力のK会長だったことを思い出す。今だからこそ注目してその内容を読み込むべき新書。

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