2011年5月10日火曜日

もっとも美しい数学 ゲーム理論(文藝春秋)

著者:トム・ジーグフリード 出版社:文藝春秋 発行年:2010年 本体価格:819円 評価:☆☆☆☆☆
資格試験などでもゲーム理論は出題されるようになっているが、この本ではそうした「問題解決型」のテキストではなく、ヒュームやアダム・スミスから説き起こし、ゲーム理論がめざす目標地点は17世紀の近代合理主義から連綿と続く一つの流れにあることを説く。物理学や生物学、経済学との融合、そしてアシモフが描写した「ファウンデーション」シリーズの世界をゲーム理論によって到達しようとする科学者の姿が描かれる。問題解決型のゲーム理論だと「まあ、こんなものか」というあっけない感想しか得ることができないが、この本では、何か可能で何か「できそうもないか」といったことも含めてイメージとしてゲーム理論をとらえることができる。複雑な数式がないというのがまたすごい。こういう文庫本が2010年に発刊され、わずか819円で入手できる時代がすばらしい。

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