2009年10月31日土曜日

一流の部下力(ソフトバンククリエイティブ)

著者:上村光弼 出版社:ソフトバンククリエイティブ 発行年:2009年
 リーダシップ論は経営学でもよくみるがフォロワーシップ論というのはまだ本が少ない。この本は上司としてではなく「部下」としてなにが最適な行動なのかといった一つの指針を与えてくれる。上司のいうことを100パーセント肯定して「ヨイショ」ばっかりというのでは組織全体をだめにするが、かといって反抗ばかりしていても生産性がない。結局チームワークをどれだけとれるかがポイントなのだから、一定の組織の風土の中で、どれだけ独自性を発揮しつつ、できうるかぎり多数の人間に快適に働いてもらえるかがポイントになるだろう。けっして表舞台の作業ではないが、かといって目に見える形で「反抗」「ヨイショ」するよりも前向きで建設的な姿勢ではないかと思う。感謝・謝罪・愛嬌というあたりが人格的なポイントでその次が「報告・連絡・相談」という実務レベルの話になるだろう。ここらあたりは仕事の基本だが、プラスアルファは、さらに「情報価値」の提供や「アイデアの提供」といった価値提供機能であると本書は説く。仕事は矛盾だらけで理想像はない、という前提を受け止めつつも改善点や価値提供をしていくことが部下の「力」と解釈すれば、酒場で愚痴いったり陰口たたいたりといった時間はだいたい99%がムダな時間だということが本書を通じて判明する。「やるべきこと」をやってから「やりたいこと」「やれること」を増やしていく。年齢をへればだれしもいずれはチームを率いていくことになるが、それはけっして「権力欲」ではなく、逆に情報家血を大多数に提供していくという提供義務範囲の拡大だ。そのためにも実は「部下」であっても「上司」であっても継続的な勉強が大事になってくる…という結論につながっていくのだと思う。新入社員には多分読んでもわからない内容かもしれないが、ある程度組織の中で働いてきた中堅のサラリーマンならばきっと共感できる部分が多数あるはず。

0 件のコメント: