2009年10月31日土曜日

戦略学~立体的戦略の原理~(ダイヤモンド社)

著者:菊澤研宗 出版社:ダイヤモンド社 発行年:2008年 評価:☆☆☆☆☆
 カール・ポパーの多元的世界論を軸に、新書サイズの説明よりもより深く、しかもシステマチックに著者の戦略に対する考察がまとめられた本。ピカソのキュービズムの理論を戦略論に持ち込み、3つの視点で過去と現在の企業経営戦略を体系化する。クラウゼヴィッツとリデル・ハートの違い、そして心理的世界に属する行動経済学の論理、取引コストをはじめとする新制度経済学の理論を取り込んだ知性的世界の戦略などこれまでの過去の理論を一気に体系化できるというメリットもある。軍事戦略と経営戦略の相違点についても重要な示唆を与えてくれるだろう。また原価管理の新しい思想であるバランスド・スコア・カードについても、キュービック・グランド・ストラテジーの観点から考察が加えられており、最新の理論についてもこの本で知識と体系を得ることができる。価格は2,400円と標準的な単行本の価格だが中身は価格4,500円でも「買い」であろう。

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