2009年6月7日日曜日

ジャガイモの世界史(中央公論新社)

著者:伊藤章治 出版社:中央公論新社 発行年:2008年 評価:☆☆☆☆☆
 この本は北海道の「栃木」という場所から始まる。栃木から最北端に開拓民として移動した方々の苦難の生活を支えたのがこのジャガイモ。宇都宮市には二荒山神社というかなり由来のある神社があるが、その御分霊を受けた栃木神社もある。自分自身もこの二荒山神社には行ったことがあるが、身近な話から足尾銅山鉱毒事件と北海道への移動、インカ帝国、ヨーロッパへの普及、フリードリッヒ2世とジャガイモ、ナポレオンとジャガイモなど思いもかけぬジャガイモのエピソードが展開される。宮沢賢治、満州開拓民と世界史と日本史を一周して現在にまた戻ってくる。著者は新聞記者出身ということでとにかく文章や紹介されているエピソードが面白い。世界史と現代をリンクさせてくれているのでジャガイモがいかに現代の生活に影響を及ぼしているのかもすっきり面白く理解できる。写真や地図も適宜掲載されているので地名がやや複雑になっても理解に困らないように配慮されているほか、ヨーロッパとジャガイモのところでは簡単な年表も付されている。面白い。

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