2009年6月7日日曜日

秘密結社の世界史(平凡社)

著者:海野弘 出版社:平凡社 発行年:2006年 評価:☆☆☆
 古代から中世、近代、19世紀、そして20世紀から現代へと秘密結社の歴史をコンパクトにまとめ、さらに参考文献も紹介してくれる新書。辞書目録としても使える便利な本。セルジュ・ユタンの分類やチャールズ・ウィリアム・ヘックソーンの秘密結社の分類なども紹介されており、インターネットによる秘密結社の参加の容易性なども指摘。また学術団体や研究団体にも秘密結社になる要因があることが指摘されているほか、産業革命以後かえって秘密結社の設立が増加した現象についても著者の見解がふされている。SFやミステリーではどうしても秘密結社にすべての原因をゆだねてしまうと「楽」でしかも「面白い」ということがあるのだが、安易な「秘密結社陰謀論」に加担するとかえって現実の「枠組み」や本質的な原因などを見失うリスクもこの本を読むとよくわかる。

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