2008年11月24日月曜日

裏モノの神様(幻冬舎)

著者:唐沢俊一 出版社:幻冬舎 発行年:2005年
 唐沢俊一さんの本はとても好きで…。とにかく自分が知らない「裏もの」や知っていても新しい視点からみた「裏もの」の楽しみ方などを紹介してくれる。この本でも個人的には大注目している「死霊の盆踊り」について(映画なんだけれど…)ほんの数行だけ著述されていたが、もう少し掘り下げてくれると非常に有難かった。「裏」と「表」は相対的なもの…という著者の発言どおり、この本の一部はすでに「表」化しているような気もする。「生殖こそ男の唯一の必要性」という断定もなかなか鋭い。確かにそれ以外に男性の存在価値ってないしなあ…。アレキサンダー大王やヒトラーの女性恐怖症のエピソードなども興味深いし、日本神話にでてくるサルタノヒコなどの異形の者の話なども面白い(手塚治虫の「火の鳥」にも通じる薀蓄が語られている)。また日本人の興味は外側ではなくて内側に向いたときにオリジナリティが発揮されるという指摘も興味深い。グローバル化しても日本のオリジナリティって結局海外では「内向き」の話のほうが受けるのは間違いなく…。若者言葉辞典の造り方の難しさなど、一過性の用語や用法の違いなどについても考察が深められ、もともとこの本の初出はパソコン雑誌の老舗「週刊アスキー」だった…というのはどことなくうなづけるような雰囲気も。現在は弟さんの唐沢なをきさんが独自の世界を「週刊アスキー」で連載中だが、その流れの源を見るような気がする。いかがわしいけれど、すでにもう立派な表の世界の一部を構築してしまっているレアな話題の数々。好きな人にはたまらない世界が展開。

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