2011年2月22日火曜日

まさか!?(ダイヤモンド社)

著者:マイケル・J・モープッサン 出版社:ダイヤモンド社 発行年:2010年 本体価格:1800円
第一次世界大戦の引き金はサラエボでオーストリア皇太子が暗殺された事件だが、この事件は実は偶然によるものだった。運転手が曲がり角を一つ間違えて停車した場所がちょうどテロリストのまん前。これをきっかけにオーストリアとドイツ、ロシア…と参戦国が拡大していく。これぞ「まさか!?」だが、こういう「まさか」の意思決定を体系化しようとしたのがこの本。ちょっとした偶然が大きな結果になるため、慎重な意思決定をしよう…という趣旨だが、日常的な行動ではなく大きな意思決定をするときには確かに役に立つ。「計画錯誤」という言い方が紹介されているが計画を立案するときにはたいていの場合には過小深刻しがちな人間の特性などが紹介されている。だが実際にもっとも重要なのは、「べき乗分布」で動く世界では突如予想もしないことが実現化するという指摘だ。たとえば為替相場や先物取引の市場などがこれに相当する。過去の流れからすれば「ありえない」というような為替相場の変動は正規分布の世界では説明できない。「なにがあるのかわからない」という慎重さが必要というわけだ。まあいろいろ箇条書きにはなっているのが実際の意思決定でこれをすべて遵守するのは不可能に近い。ただ、「負け」が続いたからといってそれがすべてではない(平均への回帰)といった考え方や、計画錯誤といった概念を頭に入れておくときっと意思決定を大きくはずすことはないであろう…ということと、わけのわからない投資話などにはやはり乗らないことが重要ということは確実な模様。

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