2011年2月12日土曜日

世界の三大宗教(河出書房新社)

著者:歴史の謎を探る会 出版社:河出書房新社 発行年:2005年 本体価格:514円
「三大宗教」と銘打ってあるが、ユダヤ教・イスラム教・キリスト教そして仏教も取り扱っている。空海と最澄の関係など日本史のエピソードもラスト近くには掲載。適宜地図も挿入されており、この手の本としてはかなり読みやすい構成。514円は妥当な価格というべきか。150ページではイスラム教が急速に勢力を伸ばした地図と理由が説明されているが、強制的な布教は禁止されていることと、その一方でイスラム勢力圏では他の宗教の信者よりもイスラム教には税制上の優遇措置がとられていたことが理由としてあげられている。メディナから東西へイスラム教が伝播し、西はジブラルタル海峡をわたってスペインを制服しフランク王国へ、東は現在のイラク、イランからアフガニスタンまで、そして北はエルサレム、ダマスカスをこえてコンスタンティノープルへ…。そしてイスラム教徒は隊商を組んで商売もしていたから布教とビジネスの両方にメリットが得られたという理由。中世ではキリスト教社会は「沈滞気味」だったが、その一方でかつてのローマ、ギリシア文化の蓄積がイスラム文化圏で行われていた理由はこの「商業の合理性」によるものではなかったかと個人的には推測する。

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