2011年2月10日木曜日

野村ボヤキ語録(角川書店)

著者:野村克也 出版社:角川書店 発行年:2011年 本体価格:724円
人間を動かすのには3つの要素があるという。「論理」「利害」「感情」の3つ。ビジネスパーソンのほとんどは「利害」で動くのではないかと思うが、やり手のコンサルタントや職人などはむしろ「感情」で動くことのほうが多いかもしれない。また学者や研究者は「論理」で動くこともあるだろう。かつての阪神タイガースで新庄選手に対しては野村監督は「感情」にうったえてモチベーションを高めようとしたというエピソードが紹介されている。成功したかどうかはともかく、「論理」や「利害」では動かない選手だ…という洞察はあたっていたようだ。また野球のコーチなどの指導力を高めるのに「過去の成功体験だけではだめ」。ではどうすればいいのかというと「アレンジ力をつけよ」というアドバイスをする。過去の経験をそのまま「解説」「実況」するのではなく、そのエッセンスを角度をかえて現代流にアレンジして選手に伝える。それが選手の感性にフィットして、成功体験を高めていくというプラスの流れだ。目標に向かって努力していくのには、それなりに困難な時代ではある(もっとも楽な時代などはこれまでもなかったわけだが)。今の時代に即した努力の方向性を、今の時代に即したエピソードで語り継ぐ「アレンジメント」がなければ野球の監督やコーチも、そして会社のビジネスパーソンも陳腐化した存在になるのかもしれない。

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