2011年2月9日水曜日

貧乏人を喰う奴らを暴く!(宝島社)

著者:夏原 武 出版社:宝島社 発行年:2011年 本体価格:457円
人気漫画「クロサギ」の作者が執筆した「貧困ビジネス」の実態。在宅ビジネス詐欺とかカード決済による総量規制の裏道などは容易に想像がつく「ビジネス」(?)だが、生活保護受給者を利用した「組織的なビジネス」にはやや愕然とした。バブル景気の後始末がすんでいない地域には採算性がとれないようなワンルームマンションやアパートが散在するが、そこを生活保護受給者の居住地にして、そのあがりをかすめるという方式。さらにはやや古風ではあるが「名義貸し」もしくは「ネームロンダリング」とよばれる戸籍の売却や他人名義を利用した借金ビジネス。これ、別に貧困ビジネスではなくても、「ちょっと名前貸して」といわれれば普通の人でも名義がししてしまうかもしれないという怖さがある。他人から借りた名義で消費者金融などから借金しまくってしまうということは実際可能だし、その場合相手は善意の第三者だから、その借金を本来の「名義人」が肩代わりして支払うことだってありうるわけだ。ラストには将来的に「一日500円で生活する500円亭主」なる概念まででてくるが…いや、これ、実際にありうるかもしれない。住宅ローンの返済や教育費などのことを考えると現在のデフレでは一日500円で昼食そのほかをまかなわなければ家計が維持できないご夫婦実際にいらっしゃるかも。インタビューは匿名が多く、もしかするとエキセントリックに表現されている部分もあるかもしれないが、信憑性は高いと思った。179ページ前後の「離婚」をめぐる著述は結婚している男性には悪夢かもしれない。


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