2010年8月21日土曜日

大聖堂 果てしなき世界 上巻(ソフトバンク クリエイティブ)

著者:ケン・フォレット 出版社:ソフトバンククリエイティブ 発行年:2009年 本体価格:950円 評価:☆☆☆☆☆
 「大聖堂」シリーズの続編で前作の子孫の人間模様が描かれる。1327年に物語は始まるが中世14世紀といえば、封建制の崩壊、ペストの大流行、独立自営農民の誕生、ワットタイラーの乱、100年戦争。そして前作では騎士道精神が形式上尊ばれたが、銃などの発明により騎士道そのものが没落して戦争のあり方も変化を見せる時代だ。
 上巻では、修道院が統治するとともに商工ギルドも支配権をもつという独特の「都市」になったキングスブリッジで、商業を中心に街をたてなおしていこうとする登場人物と神の道を説くばかりに独善的になった修道院長の姿が描写される。
 エドワード3世の時代にフランスとの関係は悪化し、イタリア商人との貿易も戦争のために困難になりつつある時代。架空の街キングスブリッジでは商工業者と聖職者との暗黙の闘争が始まる。

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