2010年8月14日土曜日

頭がよくなる経済学思考の技術(中経出版)

著者:木暮太一 出版社:中経出版 発行年:2010年 本体価格:1429円
 変形サイズの単行本。文字の級数が大きくて読みやすいが、変形だと持ち運びにはやや不便。カバーも規定のサイズが使えないのが難点か。色は緑色で書店では目立つように配慮されているのはポイント。
 内容的には、ルール、インセンティブ、プレイヤーの3つが具体的な市場(たとえば労働市場)でどのように均衡していくか…と分析している。必ずしもすべての議論に納得できたわけではなく、一部は「後知恵ではないか?」といいたくなる部分もないわけではない。ただし寡占市場における価格の均衡(自動販売機の飲料の価格など)など、実生活に有用な分析がわかりやすく解説されている点は評価できる。グラフや数式がまったく掲載されていない経済学の本というのも新鮮さがある。こうした文章を端的に表現するのが数式の役割と考えれば近代経済学のエッセンスをより短時間にマスターすることも可能になるだろう。
 年金制度についての著者の分析については個人的には疑問符。ただ、今の時代をとりまく経済学的問題がだいたい網羅され、それに果敢にチャレンジしていこうという姿勢はやはり高い評価。

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