2009年8月30日日曜日

仮説思考(東洋経済新報社)

著者:内田和成 出版社:東洋経済新報社 発行年:2006年 評価:☆☆☆☆☆
 「仮説」の大事さやロジックの構築力を訴える本は多数出版されているが、やはりこの本が一種の源流になるのではないか。すべての情報をもれなく収集するのではなく少数の情報から仮説を立案し、それを具体的なレベルまでブレイクダウンしていく。また実行のプロセスの中で仮説を修正しつつ、仕事を完遂していく…。問題発見から始まり、その解決方法を仮説によって導出して、最終的な解決案を導き出すという手法だが、おそらくプロ野球の野村克也監督がこの「仮説思考」を実践しているように思う。Iというピッチャーの球が打てないという問題を発見する。そしてそれはその投手のクセや速度に対する読みが甘いからだという仮説を立案する。それを具体化し、相手のクセをノートに書いて、具体的な打ち方やタイミングの取り方まで実践可能なレベルまで仮説を具体化・詳細化していく…。仮説思考の実践とその有効性をまさにプロ野球でみせてくれているわけだ。ここで重要なのは現場で常に発想し、そして種々多数ある現実の要因を少数の要因に絞り込んでいること。相手のクセにも3つも4つもあるかもしれないのだが、あくまでバッターにとって一番わかりやすい癖とはなにか…と問題解決の手法に用いている。この発想、おそらく「売れない商品をどうやって売るのか」という問題解決や「どうやったら人間関係を信頼をもって構築できるか」といった一般論にも展開できると思う。汎用性が高い内容をコンパクトにまとめてくれている名著だと思う。

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