2008年9月8日月曜日

感情暴走社会(祥伝社)

著者:和田秀樹 出版社:祥伝社 発行年:2008年 評価:☆☆
 感情をコントロールする…というのは事実上不可能に近いという前提から始まる。確かによほどの修行を積んでいないかぎり,自分自身の感情を冷静に保ったままというのは非常に難しい技術であることは確か。そこで著者は感情を直接コントロールすることはできないが,行動はコントロールすることができると指摘。何かできることを着実にこなす(たとえば記録など)をして,自分のコントロールを制御していこう…という実学的な内容になっている。環境や形から入るという外面からのコントロールを重視し,内面的なことはその次の段階で,ということになるのだろう。またモノの見方(認知)を飼えることのほうが感情をコントロールするえで重要とも指摘。事実関係をいろいろな見方で考えて,認知を変えていくことで冷静な判断を導出していこうという趣旨である。高度な修行は一般人には無理だが行動や習慣,そして「モノの見方」〈認知)を変えていく努力はわりと平凡な人間でもできそう。タイトルとはちょっと内容はちがっていて,実際には,どうすれば冷静な判断や複眼的なものの見方ができるのかといった指南書のような構成になっている。

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