2008年9月8日月曜日

投信バブルは崩壊する!(KKベストセラーズ)

著者名:須田慎一郎 出版社:KKベストセラーズ 発行年:2007年 評価:☆☆
 もうだいぶ沈静化してきたかと思うが,投資信託や外貨建預金などのブーム。そのブームに警鐘を鳴らした書籍や雑誌はかなりあったが,その中でも非常にわかりやすく金融機関のフィービジネスについて警告している一冊。投資信託の時価というか購入価格のようなものが基準価格で,本来はこの基準価格が上昇することが最大の投資信託のメリットということになるが,実際には分配金といった副次的なものにつられて投資信託を購入することへの注意。また銀行や郵便局の金融商品についてもリスクがともなうものであることへの注意など,商品知識やマーケットの仕組みを知らずに投資信託を購入することのリスクをわかりやすく説明。REITについても毎月安定的な分配金を出せる商品かどうかについては「そうではない」と説明。金融商品の説明だけでなく「長期金利」の見方についてもさりげなく説明されており,金利が長期的に上昇するかどうかプロがどうみているのかを判断する指標が長期金利ということで,日本経済新聞の統計を見るにも役に立つ著述が満載。またみずほ銀行の豊洲支店の狙いなど支店の店舗展開から銀行の経営戦略を推察する著述も面白い。ただし2007年からわずか1年たたない間に,経済環境がまた変わってきている。一部,本書で指摘されている状況とは違う局面も今後予想されるが,(たとえば公共事業費の3パーセントカットという骨太の方針など),その場合には本書の著述とは逆にREITの魅力が多少は上昇する可能性があると読み替えて行けばいい。国際分散投資の手数料二重取りの構図など読んでいて勉強になることが非常に多い書籍。

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