2008年9月13日土曜日

ブルー・オーシャン戦略~競争のない世界を創造する~(ランダムハウス講談社)

著者:W.チャン・キム レネ・モボルニュ 出版社:ランダムハウス講談社 発行年:2005年 評価:☆☆☆☆☆
 2005年に発行されたマーケティングの書籍だがすでに古典的名著にもなろうかという高い評価を受けている一冊。遅ればせながら,2008年4月22日第20刷発行を購入。「競争のない世界を創造する」という副タイトルがついているが,昔のマーケティングの系譜からするといかに他の企業が追随できない差別化をするか,という手法を説明してくれている。市場競争が激しい古典的な市場をレッド・オーシャンとするならば,参入障壁を伴う独自の市場を確保してしまえば,価格の値引きなどの血を流す競争ではなく,独自のスタイルで利益を追求することができる。これがブルー・オーシャンだ。「理屈としてはそうでも実際にはどうすればいいのか」がポイントとなるが,「市場の境界線をみなおす」「細かい数字よりも市場全体を大きくみる」「新たな需要を掘り起こす」「正しい順序で戦略を策定する」「実行をみすえて戦略をたてる」といった具体的な手順がさらに詳細に説明されており,読者は自らが所属する企業の立場にたって,この書籍の「手順」をいかに具体化していくかを考えれば良い内容となっている。一冊でいろいろな市場に応用がきく考え方を紹介している点では,やはり「原点」に帰って物事を考えるのに非常にいい一冊であると同時に,具体的な問題点を解決するときに解決策を打ち出すフレームワークを提供してくれる一冊でもある。サウスウエスト航空の戦略キャンバスやituneの発展の分析など,「高い独自性」といった抽象的な文言を具体的な図やグラフにブレイクダウンしているところが素晴らしい。「プロセスがお粗末では戦略の実行はできない」といった細かい生活極面に応用できる文言も随所に折りこまれており,この内容で価格1,900円は御買い得だ。おそらく大学や大学院のゼミナールなどでもすでにいろいろな形で引用されたりあるいは指定読書文献になっていると想定されるが,ビジネスにかかわる一般社会人が読むと新たな視点が与えられること間違いなしの名著である。

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