2008年9月4日木曜日

本は10冊同時に読め!(三笠書房)

著者名:成毛眞 出版社:三笠書房 発行年:2008年 評価:☆☆
 マイクロソフトの日本支部のトップだった方が意外にも文学や経済など幅広い分野の書籍の読書を推奨。「他の人が意識していない分野」にこそ新しいアイデアの素が隠れているという持論が,こうした幅広いジャンルの書籍の読書につながっていくのだろう。本は最後まで読む必要はないというのも,「調べ学習」的な読書では必須の読書術。要は知りたいことがあれば,その部分だけを読めばいいわけで,そうした合理的な読書の推奨も好ましい。テレビ番組の裏を読み通すように,書籍も懐疑的に読みつつ自分の知識や理論構築に貪欲に取り込んでいこうとする姿勢や大型書店に行く事を推奨するなど,読書家にとっては嬉しいコメントの連続。特に書籍は総合芸術なのだと喝破するあたりが,この本の肝ともいうべき箇所だろう。量産するよりも丹念な本作りを,と提唱する著者の姿勢は本作りに携わる人間にとって耳は痛いがしかし真実でもある。ウェブでは入手不可能な情報をいかに網羅的に構築していくか,情報テクノロジーの最先端をいく書籍はいかにして作成していくべきかなど,書籍の読者も作り手にとっても読むべき価値が大の文庫本である。

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