2008年9月15日月曜日

イン・ザ・プール〈文藝春秋)

著者:奥田英朗 出版社:文藝春秋 発行年:文庫版2006年 評価:☆☆☆
 奥田英朗というと「邪魔」「最悪」のデビューしたてのころ,その作風が話題となり,さっそく購入。その後実は「奥田ワールド」から遠ざかっていたのだが久方ぶりに手にとってみればずいぶん「邪魔」や「最悪」とは違う作風に…。文庫本が2006年3月10日発行で入手したのは2008年3月1日13刷というもの。単行本でも話題になった書籍だと思われるが,大病院の神経科を舞台にしたミステリーというよりもコメディタッチの人間模様。謎の精神科医「伊良部」がプール依存症の編集者,持続勃起症の営業マンなど現代の職種のさまざまな職業の人間を「独自の治療法」で「治療」(?)。大人気のなさと図々しさ,さらに「親の七光り」を武器にして看護師マユミとタッグを組んで,あざやかに治療をこなしていく短編集。「フレンズ」と題した作品がやや不気味。一日に何百通もの携帯メールを発信する男が主人公だが,こんな人,実際の電車の中にもけっこうな「数」いそうな…。

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