2008年7月26日土曜日

上級原価計算第2版(中央経済社)

著者:清水 孝 出版社:中央経済社 発行年:2006年 評価:☆☆☆☆☆
 初版が2004年。姉妹編の「入門原価計算」(中央経済社)も入門書としても応用から基礎の確認としても使える名著だったが,この本も素晴らしい。純粋先入先出法や短期的マネジメント,設備投資の意思決定まで基礎から応用まできめこまやかに論点が著述され,非常に読みやすい。受験本ではなく大学の学部のテキストとして用いられるケースが多いようだが,妙な受験本よりもずっとわかりやすくて,しかも面白い。補助部門の数が増えてくると単純総合原価計算や単純個別原価計算では正確な製品原価の計算ができないので,原価部門が設置されるといったなにげない「一行」たらずの文章が,大きな意味を持っていることにあらためて気づく。原価計算の名著としてはもちろん国元書房の「原価計算」(岡本清著)があるわけだが,名著の常としてどうしてもページ数が半端でなく多くなり,持ち運びにも不便なケースが多い。しかしこの本では,356ページ。A5サイズなのでブックカバーにいれて電車の中でも持ち歩くことができるのが嬉しい。どうしても細かい部分まで調べたいというときには国元書房の「原価計算」が一番だと思うが,日常生活で原価計算にかかわる疑問点がでてきたときにさっと取り出せるハンディさがまた魅力だ。大きすぎず,かといって小さすぎもしないのがメリット。個人的には部門別個別原価計算の章が非常にわかりやすく,しかもいろいろな意味でマネジメント的にも使える著述が多かった。人によってはそれが活動基準原価計算だったり,意思決定の部分であったりするかもしれないが,多目的な利用もできるというのがまた魅力のテキスト。

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