2008年7月26日土曜日

カネをかけずにお客をつかむ!(PHP研究所)

著者:神田昌典 出版社:PHP研究所 発行年:2004年 評価:☆☆
 顧客獲得方法について面白いアイデア。現在では著者はビジネス書籍の第一人者となっているが,はじめての著作物がこの本だというが,小予算でいかに大きな広告宣伝効果をあげるか,という点について見識がしめされている。実際に著者が商売をしながら編み出した哲学だけに説得力がある。「見込み客」がいないところに広告宣伝をかけても無駄だとか興味のない客に商品の説明は無駄とかいわれてみればあたりまえのことではあるが,その無駄をずいぶんしているのが現在の公告宣伝のあり方でもある。とはいえ肝心の品質に限界が発生すれば,いくら見込み客が集まってきてももちろんダメなことはダメなんだと思われるが。一方で既存顧客の流出防止の重要性も説かれており,顧客サービスや商品品質の向上は新規顧客の獲得よりも既存顧客の流出防止に役立つという視点は新鮮。どんな商品であってもreviseしなくては,顧客は離れて行ってしまうのは確か…。また提案営業や心理テクニックなどは,見込み客が存在するのが前提というのも言われて見ればあたりまえだが,一定の情報があって,見込みをとらえた上での「提案営業」ということになる。「見込み客を現金化する」という表現はあざといことはあざといが,見込み客に継続的にフォローして顧客獲得システムを確立させるという視点は重要。マーケティングの本を読むときにも前提条件を明確にしながら本の内容を自分に取り込むことができると同時に,実際に販売活動に携わっている方々にも有益な内容だろう。特に広告宣伝などの業務にたずさわる人にとっては,かなり重要な指摘を含んでいる内容だと思う。

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