2008年7月12日土曜日

入門原価計算第2版(中央経済社)

著者:清水孝/長谷川恵一/奥村雅史 出版社:中央経済社 発行年:2008年3月25日第2版20刷
評価;☆☆☆☆
 奥付をみると2004年に第2版が刊行されて、今年で20刷。入門書として定着した人気を得ている本といえそうだ。そもそも大規模店ではなくわりと中小規模のお店でも原価計算関係の本としてこの本が棚に並んでいるところからして、原価計算に興味をもつ社会人向けとしても需要が見込める本になってきたのだろう。著者はいずれも早稲田大学商学部の教授でもともとは学部の授業用のテキストとして編集されたようだが、緻密でわかりやすい説明は社会人向けにも各種検定試験の副読本としても利用できる。原価計算の意義・目的→原価の分類→原価計算の手続きと進む流れもわかりやすい。ただし個別の費用項目に入る前に個別原価計算の説明が入ったり、材料費でいきなり材料副費の予定配賦の問題が出てきたりと、やはり入門書として個性のある配列となっている。個別原価計算と総合原価計算の基本的なところをおさえてから、費目別原価計算の細かい論点を学習していこうという趣旨のようだが、これはこれで独特の教育方針がみえて面白い。やや直接原価計算の部分は最後の章で「上級原価計算」の橋わたし的な内容で終了しているが、日本商工会議所の簿記検定2級の対策資料としても十分使える内容。略式の勘定図などは下書用紙にも使えるので受験生にとっても便利だろう。2,800円だが、価格以上の「ベネフィット」は十分。

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