2008年7月20日日曜日

下流社会第2章~なぜ男は女に負けたのか~(光文社)

著者:三浦展 出版社:光文社 発行年:2007年
評価:☆☆☆☆
 前作には「統計データが少ない」という批判が多かったが,今回の第2章ではそうした声を受けてか,かなり統計データを掲載している。面白さは第1作以上。上流社会:中流社会:下流社会の比率が(あくまでも階層意識として)15:45:40という比率になっていることを紹介。女性が男性にもとめる年収は600万円以上が一番多いというデータを紹介しつつ,男女雇用機会均等法が施行されてから女性の進出にともない,競争原理ではじきとばされた男性社員について焦点を当てる。統計データにもとづく分析なのであくまでも「分類上」の話ではあるが,たとえば「SPA系統」の男性は,下流意識の強い正社員男性の読者が多いという結論になる。なるほど。雑誌のテーマもそれっぽいし,これは感覚的には正しい。さらに「経済情報よりもファッションとエロと右翼に感心がある男性はパラサイトしやすい」という大胆な仮説が…。下流の度合いが高い読者層は「R25]次に「週刊アスキー」…(自分では下流意識はないつもりだったが週刊アスキーは毎週購入している。でも確かに気分はわかる…)。さらに週刊現代と週刊東洋経済の読者層には自民党支持者よりも民主党支持者のほうが多いという統計データも。紹介されている記事自体が確かにそうだよなあ…。「日経パソコン」などでは自由民主党の支持率が高く,著者は消費好きな男性ほど自由民主党支持という大胆な結論を…。秋葉原そのほかで潜在的な自由民主党の支持者層があるということで麻生太郎先生が秋葉原で演説するのは,正しい戦略と言うことになる。第3章からが面白く,格差社会と言う以上,非正社員が正社員になりたがっている…という仮説を前提に何某新聞社がアンケートをとったところ違う結果が出た。正社員には必ずしもなりたくないが,福利厚生面をあげてほしいと考えている人たちのほうが多いと言う結果だ。正社員はむしろ束縛が多くて嫌われているといってもいい形になっており,必ずしもメディアや野党,労働組合が考えるような形での「不満」は少ない(考えて見れば当初は正社員で働いていた人が束縛を嫌って派遣社員になるケースもかなり多くあったので,この結論は正しいと考えられる)。著者がそこで高い評価をしているのはユニクロの地域限定社員なのだが,これは確かにそのとおりだ…。ナショナリズムと所得などの関係をみていくと,反中・反韓・反米というナショナリズムが強いのは下流でネガティブな方向(アンチと言う意味で)の愛国心が多く,そうなると「美しい日本」というようなアファーマティブなナショナリズムには反応しにくいとの事。なるほどなあ…。この女性バージョンも展開されているのだが,「かまやつ系」と分類される女性はわりと身近にも多いのでなんとなくよくわかる。個人的には私はロハス系の男性ということになるだろう…。前作以上に面白い…しかもいろいろこれらのデータは有効活用ができそうだ…。

0 件のコメント: