2008年2月24日日曜日

世界悪女大全

著者名;桐生操 出版社;文藝春秋社 発行年;2006年
 コリン・ウィルソン風の「大全」を思い浮かべていたのだが、実際にはエリザベス1世やエカテリーナ・メディチ、マリア・テレジアなどまで「悪女大全」に含まれており、もう少し有名度は落としても、別の名前を特集して欲しかったもの。ルイ15世とバリュ婦人(ジャンヌ・ベキュ)、さらにマリ・アントワネットの相克を思い出してみると「公的な愛人」というのは確かに一人。この本の190ページにはルイ14世とモンテスパン公爵夫人のエピソードが紹介されているが、フランスの宮廷生活では「公式の愛人を一人持つことが許されていた」のだそうな。中国や日本の大奥などと比較するとえらい違いだが…。ただしその次のコラムではルイ15世のためにポンパドゥール夫人が「鹿の苑」という一種のハーレムを作ったエピソードが紹介されており、「非公式的」にはやはりいろいろあった…ということか。他のページでもリシュリュー派が担ぎ出したジャンヌ・ベキュなどのエピソードが紹介されており、ちょっとこのルイ14世、ルイ15世ともに「大国」の宰相にふさわしいエピソード満載。ちょっと面白いのが英国での「高級娼婦」とされているクリスティン・キーラー。「スキャンダル」という映画のモデルになった人、そしてヒトラーとの「近親相姦的関係」として紹介されているゲリ・ラウバル。写真などもさすがに天下の文藝春秋だけあって文庫本なのに豊富。あとは索引などがもう少し充実してたらと思う。357ページ。本体価格619円。

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